商標 – ニース分類の改訂:NFTソフトウェアやその他の仮想商品の指定も可能に

国際商品・サービス分類(いわゆるニース分類)改訂版は202311から施行されており、世界知的所有権機関(WIPO)のホームページで公開されています。

今回で12回目となる改訂は、最近の技術開発動向や市場ニーズを反映したものとなります。毎年行われるように、WIPO専門家委員会は、多くの企業が提供し、商標出願で頻繁に指定される商品やサービスについて、いくつかの変更を行い、新しい定義を導入することを決定しました。

この国際分類は、世界92カ国の商標庁で採用されていますが、中には、現地の実務に合わせ更なる記載を求められたり、より明確で精密な要件を満たすことを求められたりする国がありますのでご注意ください。

この中で、最も待ち望まれた改定部分が「メタバース」、仮想世界、NFTの販売及び管理に関する商品・サービスの指定であることは間違いないでしょう。

WIPOが承認した新しい分類では、「非代替性トークンNFTによって認証されたダウンロード可能なデジタルファイル」や「ブロックチェーン技術による暗号通貨取引を扱うダウンロード可能なソフトウェア」を第9類に指定できることが明示されています。第41類の娯楽に関するサービスでは、「ライブロールプレイングゲームLARPに参加するための設備提供」や「オンラインバーチャルツアーの提供」、さらには「ダウンロード不可能な画像のオンライン提供」を指定することが可能になりました。

なお、バーチャル商品については、2022年6月にすでに 欧州知的財産庁(EUIPO)が、第9類(ソフトウェア、デジタルコンテンツ・画像)に該当するものの、関連するコンテンツを明確にする必要があることを明確にしています。例えば、EUIPOにおいては、「ダウンロード可能なバーチャル商品、すなわちバーチャルな衣服」あるいはデジタルで表現された他の商品、として指定することが可能です。

また、営業・マーケティングサービス(第35類)、金融取引管理(第36類)、ゲーム等の娯楽・文化に関するサービスの享受(第41類)、通信(第38類)、プログラム・ソフトウェアの開発(第42類)を指定した仮想商品・NFTの創造、管理、経済取引に関するサービスについても商標保護を受けることが可能かどうかはケースバイケースで検討されるべきと考えます。

商標登録によって得たい保護範囲を明確かつ正確に区分けするために、商品およびサービスの適当なリストを作成しておくことは有用です。ただし、ニース分類における一般的に許可される用語のみ記載の場合、一部の国の商標庁からより詳細な記述を要求されることがあるので、注意が必要となります。

 

Raffaella Barbuto

© Studio Torta (All rights reserved)

最新ニュース