イタリア商標無効・取消手続 – より迅速で安価な行政手続が可能になります

イタリア特許商標庁(UIBM)に対する登録商標の無効・取消の行政手続がまもなく施行される予定です。正確な日付はまだ発表されていませんが、EU指令2015/2436で定められている2023年1月14日までには施行となる予定です。

この日以降、登録商標の無効および取消には2つのルートが可能になりますが、すでに有効な手段である訴訟は、欧州レベルでは既にここ数年起きている通り、より迅速で安価なこの行政措置に置き換えられていくことになるでしょう。

既に登録されているイタリア商標やイタリアを指定する国際登録は、これらの新しい行政手続きによって争うことが可能となります。

 

I.    根拠

無効手続は、以下のような標識に対して請求することができます。

– 識別力を欠く(イタリア知的財産法(CPI)第13条第1項(a)及び(b)(2)及び(3))。

– 虚偽的である(第14条 (1) (a) および (b) CPI)。

– 欧州連合もしくは国の法律、または欧州連合もしくは国が加盟している関連国際協定に基づき、PDOおよびGI、ワインの伝統的用語、保証伝統的特産物、植物品種名の保護に関連して登録から除外されるもの(CPI第14条(1) (cの2), (cの3), (cの4) 及び(cの5));

– 同一又は類似の商品・役務に対して第三者が既に登録している商標と同一又は類似の商標で、標識の同一性・類似性及び商品・役務の同一性・類似性により、混同の可能性(関連の可能性を含む)が存在する場合(CPI第12条 (1) (c) 及び (d) )。

– 同一又は類似、あるいは類似しない商品・役務について第三者が既に登録している商標と同一又は類似で、先の商標が名声を得ており、正当な理由なく後の商標を使用すると先の商標の特徴又は名声を不当に利用し、又は害する場合(CPI第12条(1)(e))。

– パリ条約第6条の2にいう周知商標と同一または類似の商標(CPI第12条(1) (f))。

– 商標権者の代理人/代表者が、商標権者の同意または正当な理由なく出願したもの(CPI第184条の2)。

 

ただし、以下の点について注意が必要です。

  • イタリアでは、(一定の条件下で)使用により得られる先行権利が認められていますが、無効手続は、こうした権利や、取引上使用される他の標識、または、例えば名称、画像、著作権に対する権利といった他の先行権利を根拠とすることはできません。
  • 悪意(Bad faith)については行政手続の根拠とはなりえませんが、法的措置においては引き続き、根拠として有効です。

 

取消手続に関しては、以下が根拠となりえます。

– 不使用(CPI第24条)

– 商標の普通名称化(CPI第13条(4))

– 商標が誤解を招くものになった場合(CPI 第14条(2)(a))

 

II.    手続

無効又は取消手続が提出されたことを管轄庁がどのような通信手段で通知するかについては、まだ完全には明らかになっていませんが、

  • 送達先としてイタリア代理人がイタリア特許商標庁に登録されていない場合、申立を受ける商標が国内商標か国際登録のイタリア指定商標かにかかわらず、管轄庁は無効または取消手続き申立の事実を商標権者に直接通知することになります。

手続きは簡単で、EUIPOにおける手続きとほぼ同じです。

主な違いとしては、当事者間の交渉を可能にするためのクーリングオフ期間が設けられているこ点が挙げられます。具体的には、手続き開始後管轄庁による方式審査が行われ、その後、文書の提出を伴う当事者間の敵対的段階に移ります。管轄庁は当事者の議論に基づき決定を下しますが、その後2ヶ月以内であれば審判部へ上訴することが可能です。

手続きは合計で24ヶ月を超えないものと予想されますが、当事者の共同請求により中断することはいつでも可能です。

本件に関するご質問などございましたら、私たち商標弁理士チームまでお気軽にご連絡ください 。

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