ブレグジットと知的財産

英国が欧州連合からの離脱(いわゆるブレグジット)を決定したことで状況は不透明になり、政治や経済の分野だけでなく、知的財産の分野における懸念も高まっている。

欧州連合商標、登録および未登録共同体意匠、共同体植物品種権、各種地理的表示はすべて欧州規制(欧州連合において単一効力を有する知的財産権)に準拠して登録されるが、EU離脱の日をもって英国領土における有効性が失われる。これは2017年9月20日に欧州委員会の知的財産権(地理的表示を含む)に関する方針説明書において、またそれに続く2018年1月22日付のEU商標および共同体意匠に関する利害関係者宛通知において確認されている。

数カ月前まで、単一効力を有する知的財産権の所有者は、欧州連合と英国間の協定に関する交渉において、欧州連合レベルで取得した権利がブレグジット後も英国全土で確実に維持されることを希望していた。この要望については、協定案に盛り込むものとして、欧州委員会と英国の双方により承認された。3月16日から19日に行われた直近の交渉ラウンドの最後に両当事者は、知的財産に関する権利の部分も含めて、2018年3月19日に公表された協定案の大半について合意に達したと発表した。

要するに、知的財産権に関して、一方ではEU商標、共同体意匠、共同体植物品種権および地理的表示がブレグジットの日以降英国領土で有効性を失うものの、他方では英国での同等の国内権利への移行期間においてこれらの権利が保護されることで合意している。

両当事者が移行期間を2019年3月29日から2020年12月までとし、その間英国はEU加盟国にとどまる予定であることを考慮すると、この移行はおそらく2021年以降となることに注目すべきである。

このプロセスの遂行方法については、数項目の重要事項を定めた協定案にその一部がすでに規定されているが、英国が公式の立場を表明するまで、国家レベルで移行プロセスがどのように規定されるかは定かではない。

Maria Teresa Saguatti

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