共同体意匠 – 「修理条項」に関する欧州司法裁判所の判断

共同体意匠理事会規則第110条は、「本件委員会の提案に関して、本規則への改正が施工されるまでは、共同体意匠としての保護は、第19条(1)の意味において、複合的な製品の元の外観を回復することを目的として使われる複合的な製品の部品を構成する意匠には存在しないものとする」としている。

この条項は通常「修理条項」として知られている。

欧州司法裁判所は2017年12月20日、「修理条項」に関する判断をAcacia事件にて行った。(C‑397/16 及びC‑435/16の合同事案)

これは欧州の事件としてはFord対Wheeltrims 事件に次いで2番目に重要なものである。先の件と同様、Acaciaはイタリア、ミラノ地方裁判所の第一審裁判所及び控訴裁判所にて審理された。

2014年11月24日の第一審の判断は自動車製造者側に有利なものであった。裁判所は、自動車のデザインはホイールのデザインから独立したものであるため、ホイールは修理条項の範囲内に入らないと考えられるべきとした。実際、他の自動車のパーツが自走車製造企業がデザインした元の外観に帰属する一方、ホイールは購入者によって、さまざまなタイプのモデルの中から、自分の好みに合わせて選択されている。この判断の以前には、ミラノ、トリノ、ボローニャの裁判所でも同じ立ち位置が共有されており、逆にこれに対峙する立場をナポリの裁判所が取っていた。

2016年6月15日、ミラノの控訴裁判所はしかし、予備判決をもとめて事件を司法裁判所へ照会した。ミラノの控訴裁判所は第一審の判断とは異なり、ホイールは修理条項にあたると判断した。

欧州連合司法裁判所は実質的にミラノ控訴裁判所の立場を支持したが、以下のとおり、重要な原則を追加している。

  • 修理条項は、保護されている意匠が複合的製品の外観に従属するものであるという条件に基づくものではない。つまり、ホイールは原則として修理条項の適用から除外されない。
  • 修理条項は交換可能なパーツが、その複合製品が市場に出された際に組み込まれていた時のパーツと視覚的に同一の外観を有するべきであるという条件に基づく。

修理条項に準拠するには、複合製品の構成部品(スペアパーツ)の製造業者、販売業者は川下のユーザーに対して、同条項の要件を順守することを奨励する義務がある。特に、川下のユーザーに対して、製品、パッケージ、カタログあるいは販促資料等に、当該部品は製造業者、販売業者が意匠権者ではない意匠の一部を構成すること、また、その部品は複合製品の元の外観を復元するため修理のみを目的として使用されることを意図していることを、簡潔かつ明確に表示をしなければならないとしている。また、特に契約など適切な手段により、川下のユーザーが構成部品を修理条項に記載されている条件に沿わない形で使用しない点を確実なものにしなければならない。最後に、部品の製造者、販売者は修理条項に記載されている条件に沿わない形でその構成部品が使用されることを知る場合、あるいは合理的に知ることができる環境にあった場合には、その販売を控えるべきであるとしている。結論として、司法裁判所は修理条項の適用の条件を明確にしている。またこの判決は、非純正品製造業者の果たすべき義務を初めて明確に示すものとなった。

CLAUDIO COSTA
FABIO D’ANGELO

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