植物の特許性に関する議論において再び意外な展開

2018年12月に、欧州特許庁(EPO)の審判部は、事件T 1063において、本質的に生物学的方法によって作り出された植物は特許性があると考えられるべきであると下した。この決定は、EPOがこの逆を述べて規則を修正して、わずか1年後になされた。

この議論は、何年も前に、イスラエル農業省およびバイオテクノロジー関連会社であるプラント・バイオサイエンス・リミティッド(PLB社)が、技術的性格の更なる工程によって完了する異種交配工程と選択工程とを含むトマトおよびブロッコリーをそれぞれ作り出す方法を対象とする出願を行ったときに始まった。

どちらの出願もEPOに特許付与され、欧州特許条約(EPC)第53条(b)に基づいて「本質的に生物学的な方法」は特許可能性から除外されることを含む根拠により第三者が異議を申し立てた。「本質的に生物学的な方法」の定義をどのくらい広く解釈すべきかを明確にするために、拡大審判部へ照会がなされた(G1/08はトマトⅠとしても知られ、G2/07はブロッコリーⅠとしても知られる)。拡大審判部は、ゲノム全体の性的異種交配およびその後の植物の選択に基づく植物作出方法は、たとえ異種交配工程と選択工程を可能にする又は補佐する役割を果たす技術的性格の工程を含むとしても、EPC第53条(b)の下で除外されると結論付けた。

トマトⅠ及びブロッコリーⅠにおいて未回答のままの問題は、このような方法によってもたらされる製品に関する請求項も特許可能性から除外されるか否かであった。そのため、これら2つの出願の請求項がトマトとブロッコリーという植物を取り扱うように補正された後に、トマトⅡ及びブロッコリーⅡ(G2/12及びG2/13)の照会が拡大審判部になされた。

様々な利害関係者、中でも育成者団体、種子産業及びNGO(民間非営利団体)がアミカス・ブリーフ(第三者の意見書)を提出した。多々討論の末、2015年3月26日に、拡大審判部は、植物を作り出す方法は特許性がなくとも、植物は特許性があり得ると判断を下した。

その後、2016年11月にこの事項について議論が再開された。この11月に、欧州委員会がEU[欧州連合]生物学的特許指令(98/44/EC)*の中で特定の条項に関する通知を出し、欧州立法者の意図は、本質的に生物学的な方法のみならず、そのような方法によって得られた製品も除外することであることを明確にした。

EPO管理理事会は、本質的に生物学的な育成方法のみにより得られた植物及び動物を特許可能性から除外して欧州委員会の通知に準拠するために、規則を修正することを決定した。

本事項は解決されたと思われていたところ、昨12月の決定が突然やってきた。

ここで問題となっている特許出願は、Syngenta Participations AG社名義の欧州特許2753168であり、向上した栄養価を有する新しいペッパー植物と実に関する。この出願は、請求項の主題が第53条(b)及び新しいEPC規則28(2)に定められた特許可能性の例外の範囲内にあると認められたため、EPOに拒絶された。出願人は、この拒絶に対して審判を提出して、管理理事会が制定したEPC規則28への修正について異議を申し立て、新しいEPC規則28(2)は法的不確実性を創出し指令98/44/ECとEPCとの不整合をもたらすと考えた。Syngenta社は、欧州連合司法裁判所のみが指令の法的に拘束される解釈を出す管轄権を有するので、委員会の通知は法的に拘束しないと強調した。審判部は、Syngenta社の論証の線を認めたが、この問題を拡大審判部に付さなかった。また、審判部は、進歩性(EPC第56条)と明確性(EPC第83条)の要件を見直すために審査部にこの事件を付託した。審判部によると、第53条(b)の正しい解釈は、トマトⅠ事件及びブロッコリーⅠ事件において拡大審判部が既に提供しており、この解釈が規則の修正に優先すべきである。

この決定は、議論を復活させ、本質的に生物学的な方法により作り出された植物の特許可能性に関する議論に再び意外な展開をもたらす。

*バイオテクノロジー発明の法的保護に関する欧州連合指令98/44/ECは、1998年7月30日に発効した。その目的は、欧州連合内においてバイオテクノロジー関連発明の保護を調和させることであった。この指令は、理論上、欧州連合加盟国のみに宛てられていたが、(欧州連合からは独立している)EPOは、EPC施行規則にこの指令の規定を自主的に組み込んだ。

 

ALESSANDRA BOSIA

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