SEPとは何か?

標準とは、特定の商品、素材、構成要素、システムまたはサービスの要件を規定するか、特定の手順を詳細に記述した文書である。

標準は、欧州電気通信標準化機構(ETSI)や国際電気通信連合(ITU)のような標準化団体(SSO)によって設定される。

標準は「2G」(GSM/GPRS)、「3G」(UMTS)、「4G」(LTE)といった通信規格をはじめとして数千種類ある。ラップトップ・コンピューター1台だけでも、251の相互運用性標準に準拠している。

標準では特許で保護された技術に言及していることがよくある。その場合は、標準必須特許(SEP)、すなわち標準に必須の技術を保護する特許のことを言っている。スマートフォンやタブレットなどの標準に準拠した装置を、1つまたは複数のSEPで保護された技術を使用せずに製造することは不可能である。

SEPは、発明の意匠的特徴を保護する意匠特許などの、標準に必須でない特許(非標準必須特許)とは異なる。一般的に企業は非SEPを侵害しない代替的ソリューションを発明することはできるが、SEPに関連するような設計を行うことはできないためである。

一例として、「スライド式ロック解除」技術は非SEPで保護されている。

SSOのIPRポリシーでは、特許権者に対して、標準に必須と思われるいかなる特許もSEPとして宣言することを義務付けており、SSOが必須性の宣言の正確性をさらに詳しく確認することはない。これは、標準の具体的な技術仕様に関する文書に対する宣言が必須性を予測させるものであっても、すべてのSEPが実際に必須であるとは限らないことを意味する。

標準の必須性を考えると、SEPは企業にとって重要である。全般的な特許訴訟とSEPに関する特許訴訟の頻度は特にこの30年間で大幅に増加しており、SEPの訴訟件数は非SEPを上回っている。

標準設定(標準化)は、同一の市場の事業者(多くの場合は競合会社)間での合意に基づいて行われ、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)第101条に準拠する。

しかし、SEPによって特許権者は大きな市場支配力を獲得する。標準について合意し、業界の企業が標準に準拠した製品に多額の投資を行うと、市場は実際に標準と関連SEPの両方による束縛を受けることになり、企業が非競争的に行動する可能性は極めて大きくなる。

こうした競争上の懸念を軽減して標準化の利点を広めることを目的とし、多くのSSOは、標準に準拠するために必須の特許を所有する企業に対して、FRAND(公平、合理的、非差別的)な条件でのSEPのライセンス供与を確約することを求めている。

 

Mirko Bergadano

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