UPC手続き言語、ドイツ語より英語が優先?

統一特許裁判所(UPC)は、欧州レベルでの特許訴訟のための統一された枠組みを提供するが、手続き言語は統一されていない。UPCで使用可能な10カ国語の手続言語は多様性をもたらす一方で、当事者とUPCの双方にとって問題を複雑にしており、UPCはここにきて、4カ国語に堪能な翻訳者を募集している。

原則として、UPCの手続き言語は、事件が提起された地方部の公用言語となり、事件が中央部に提起された場合は、特許が付与された言語(英語、フランス語、ドイツ語)となる。また、欧州特許庁の公用語(英語、フランス語、ドイツ語)の一つまたは複数が代替言語として地方部により認められる可能性もある。

いくつかの地方部は、2023年6月1日のUPC発足のかなり前にこのオプションを採用し、代替手続言語として英語を認めていたものの、ドイツの4つの地方部は、同日になって初めてこのオプションを採用したため、多くの事件がすでにドイツ語で準備され、提出されていた経緯がある。しかし、それ以降、UPCのどの部門でも利用可能な手続言語として、英語の利用が増加している。

2023年末時点で、事件の49%がドイツ語、40%が英語で提起され、残りはフランス語、イタリア語、オランダ語で提起されている。

2024年3月初めの時点でも、訴訟の主要言語はドイツ語であったが、その相対的頻度は48%に減少し、英語が43%に増加している。興味深いことに、北欧・バルト三国で提起された事件の手続言語は英語のみであり、パリの中央・地方部でも主要な手続言語となっている。ドイツ地方部での訴訟でも英語が使われることが多くなっているが、これはおそらく、外国人裁判官は確かに英語には精通しているが、ドイツ語はあまり堪能でない可能性があるパネルの構成によるものと思われる。

この傾向が続けば、近い将来、英語がドイツ語を追い越すかもしれない。果たして、どの言語が最後の砦となるのだろうか。
詳しくはこちらをご覧ください

最新ニュース

UPC発足から10ヶ月

2024年4月8日 | UP & UPC, インサイト

数年にわたる準備期間を経て、統一特許裁判 […]