一方の当事者からの請求によるUPC手続言語の変更:最近の動向

UPCの手続で使用される多様な言語、特に英語とドイツ語のせめぎ合いは、数週間前にこのサイトでも取り上げたように、現在最も議論されている問題の一つである(UPC手続き言語、ドイツ語より英語が優先? – Studio Torta)。
この議論の中で、特にCFI 463/2023事件(Curio Bioscience Inc. vs. 10x Genomics, Inc., デュッセルドルフ地方部)における第一審裁判所長の最近の命令を踏まえて、当事者の請求による訴訟手続言語の変更というテーマについて、UPCがこれまで採用してきたアプローチを詳しく見てみる価値があるだろう。

原則として、第一審裁判長は、一方の当事者の請求により、特許が付与された言語を訴訟言語として使用することを決定することができる(UPCA第49条5項、RoP 規則323.1)。
先のCFI 239/2023事件(ハーグ地方部)およびCFI 373/2023事件(デュッセルドルフ地方部)では、当初選択された言語が被告に著しく不利であるとの理由で、手続言語を英語に変更するという請求が認められた。
一方、CFI463/2023事件では、中小企業であるという証拠が提出されておらず、双方が等しく外国語に接しているという理由で、裁判長は請求を却下した。さらに、英語を使用することで司法活動の円滑化が図れるという主張には説得力がないと判断された。同様の状況は、CFI440/2023事件(パリ地方部)でも見られた。

以前よりも厳格なこのアプローチは、UPC制度の言語的な豊かさと複雑さを守るためなのかもしれない。いずれにせよ上記を考慮すると、訴訟手続言語を変更する請求は、その言語の選択によって請求人が有利にならないよう、詳細な情報と適切な論拠によってサポートされることが適切であると思われる。

詳しくはこちらをご覧ください: https://www.unified-patent-court.org/en/node/609

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